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№1702 悪徳社員に脅かされる

№1702 悪徳社員に脅かされる

 社長にスキがあると社員に脅かされることがある。
 社長は悪いことをやってはいけない。社員があなたを見ている。そして、社員は常にあなたの見方とは限らない。義憤を感じて密告されることがあるし、逆に社長を脅かしてくる例がある。

 たとえば、公共工事で手を抜いて検査をうまくすり抜けているような時、あなたの指示で社員は言うとおりにするだろう。しかし、その後、社員が法外な要求をしてくることがある。それを飲まなければ検査をごまかしていることを親事業者にばらすと言ってきたらあなたはどうするだろう。

 こんな時の社長はとてももろい。
 なんだかだとその場をごまかし、社員の要求を少し譲歩させて飲んでしまう。譲歩を迫られた社員は不満を募らせ、次の要求をしかけてくる。社長はさらになんやかやとごまかしその場を逃げようとする。それが、「嘘をついた」と悪徳社員にさらに口実を与えることになる。

 気がついてみれば、こうした悪徳社員に1千万円を超える金額を渡していることがある。わずかな利益を追求するためにこんなばかげたお金を払うことになる。一方で、一生懸命まじめに働いている社員がいるのにそんなことでいいのだろうか。

 こうした場合、弁護士としてはまず社長に覚悟を持ってもらう。最悪の状態になってもかまわないという覚悟が無ければ悪徳社員と対決することはできない。

 その上で、悪徳社員を呼び出し、この社員の行為が恐喝に当たること、つまり、警察に逮捕してもらう旨を伝える。社長はもう会社をつぶしてもよい覚悟を決めていると伝えることが重要だ。そして、今だったら、許してやるがどうする、などと迫ることになる。

 こうした手合いは多くはやくざとは異なるので、自分のやっている罪の大きさを自覚すると急に善人になってしまうことが多い。実際、こうした恐喝はかなり悪質なので、恐喝罪は免れない。相打ち覚悟にたった場合、私は負けたことがない。

 しかし、そもそもは違法なごまかしによって利益を得ようなどと言うこそくな商売をしたところに問題があることは肝に銘じるべきだ。

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