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№1692 ナレッジ・マネジメント 知識の整理

№1692 ナレッジ・マネジメント 知識の整理

 経済社会の荒波の中で生き残っている企業はそれなりに差別化を果たしてニッチを獲得している。差別化の源となる知識や情報は企業にとって大切な財産だ。

 こうした知識は、たとえばマニュアル化できる技術だったり、経験的な感であったりする。それだけでなく、社内規則から企業文化と言ったマネジメントにかかわる情報も差別化の重要な要素だ。

 ハーバードビジネスレビューにナレッジ・マネジメントにかかわる記事があった。企業の持っている知識や情報をどのように整理し、活用し、さらにはイノベーションにつなげていくといった手法が研究対象になっている。

 会社にとって有益な知識をいろいろ上げて、それをマッピングするという手法だ。座標軸を二つとり、ひとつは「構造的」か「非構造的」か、もう一つは「散在的」か「非散在的」かと振り分けている。

 たとえば設計図は目に見える形なので構造的知識だ。これが社内に厳重に管理されていれば非散在であるし、社外に流通していれば散在的だ。
  経験的な感は言葉では表せないので、非構造的だ。しかも社内にとどまることが多いので非散在的だ。

 いろいろ、マッピングすれば、思考の段取りができるので、企業にとって必要な知識を並べることができるだろう。こうした作業は複数で行うに限るので気のあった仲間や、社員どうしてやってみても悪くない。

 しかし、いろいろ、知識をマッピングするにしても、マッピングそのものにひらめきが求められる。ATLASという科学者集団のプロジェクトでは「ATLASの実験全体を見渡す」という知識領域が設定され、マッピングされた。

 必要な知識の中に、「このような『実験全体を見渡す』という項目が必要だ」、と思うところでなんだか勝負があったという感じがする。必要な知識を探し出すことそのものに、すでに創造的なひらめきが必要だ。

 もうひとつおもしろい話がある。
 知識のマッピングを終えた後、さらに知識の性格を変えてみることを勧めている点だ。自社特有の情報(非散在的情報)を他社に広げる知識(散在的知識)になるとどうなるか。知識の魅力は低下するが、知識に対して他社の知識や情報が加わることで革新が生まれる。他社と交流することで思わぬ企業連携が生まれるという可能性もある。

 たとえば、ライセンスをオープンにすることで、他社と知識が共有され、新たな化学反応が起こるかもしれない。などと、マップを見ながら検討するのだそうだ。

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