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№1655 たまには動物はいかが?「狆」

№1655 たまには動物はいかが?  「狆」

 狆は我が国の数少ない愛玩犬だ。「ちんくしゃ」とか「ちんころ」とか,いろいろ言われているが,素性はかなりよい犬種ではないだろうか。

 知らなかったのだが,狆が犬種として定着するのはどうも明治維新以降らしい。日本の狆はもともと,いろいろな種があって小さい犬のことを「狆」と読んでいたようだ。長崎を通じて西洋から大型犬から愛玩犬まで輸入されていて,ちいさい犬はみな「狆」だったらしい。

 「狗譜」というのが残っていて,江戸時代幕末日本にやってきた犬たちが描かれている。

 問題の狆だが,愛玩犬としては大奥などで買われていて,徳川綱吉などは稀代の悪法,「生類憐れみの令」などして愛玩していた。この時の江戸城にいた狆はきっと今の狆に近くて,白と黒だったかもしれない。なんでも白と黒の犬種が中国から輸入されたという話もある。

 江戸末期,シーボルトが日本の「狆」を持ち帰っていて,その剥製が残っているが,何だかすらっとしていてそこら辺の野良犬と変わらない。でも,江戸時代の浮世絵など見ると確かに白と黒の今の狆の姿が描かれているものがある。

 狆は明治以降,ヨーロッパに持ち込まれ,イングリッシュ・トイ・スパニエルなどと交配改良が重ねられ,今の犬種に定着したそうだ。なんでもジャパニーズ・チンと呼ばれているそうだ。もともとはモンゴルの出のようで,中国での愛玩犬ペキニーズのお仲間ということで,日本の愛玩犬とは言っても,日本に来たのはそんな古い訳でもなさそうだ。ペキニーズはチンと本当によく似ている。

 Wikiによると,続日本紀などでも「蜀犬」が献上されていたそうで,「狆」との関係があるようなないような,よくわからないらしい。

 蜀犬と言えば,
 「蜀犬,日に吠え,呉牛,月に喘ぐ」
 で有名ですね。蜀では日が差すことが少ないのでたまに日が差すとびっくりして蜀の犬は吠え始め,苛酷な労働を強いられていた呉の牛は月を見て夜明けと勘違いして喘いでしまうという,無知の例としてあげられておりますね。

 画像は葛飾北斎の「狆」。と,「狗譜」の洋犬
 狆は今の狆とは大部違います。