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№1618 ネット写真貼り付けと著作権

№1618 ネット写真貼り付けと著作権

 写真には著作権がある。個人の肖像が写っていれば肖像権も問題となる。ネット上の写真の貼り付けは原則として著作権や肖像権の侵害となる。しかし,提供者の許諾があれば侵害とはならない。

 この点,著作権管理会社が無断でブログに写真を貼り付けたということで訴えた。これに対し,東京地裁は無断の貼り付けだとして約7万9000円の賠償を命じた(H24.12.21判決,判タ1408号367頁)。

 被告は次のような記載があるから,「ただ」だと思って使ってしまったと反論した。法律上,過失がなければ賠償義務はないので,「知らなかった」「信じていた」「過失は無かった」ということは反論になる。

 記載はこうだ。

「サイトで海外のショップでフリーの素材として販売していたもの,及び,海外のネット上で流通しているものを独自に収集したものです。無料でダウンロードした壁紙は,デスクトップピクチャーとして,あなたの生活に憩いを与えてくれるでしょう。また,ホームページの素材としてお使いください。」

 このような記載があるサイトからハワイの写真をダウンロードして,被告掲載のブログにアップした。これに対して,写真のライセンスを管理している会社(米国)がこれを見つけ出し,ブログ主催者に対し,著作権侵害を理由に損害賠償請求を行ったのである。

 東京地裁は事案の経過から判断して,そもそもこの記載を読んでいたとは思われないと判断した。

 また,この記載から判断しても「流通しているもの」をダウンロードしたとしか書いていないとした。つまり,著作者の了解はどこにも得たとはどこにも書いていない。だから,注意深く読めば,著作権侵害があるかもしれないことぐらいは読み取れるとしたのである。

 個人的ブログを楽しんでいる分にはこんな裁判は少ないかも知れないが,商売で大々的にサイトを利用しているような場合には問題になり得るし,金額もこの程度では済まないだろう。