№1539 陸前高田 八木澤商店
当時の感想もこのブログ記事になっている。
八木澤商店は文化4年,1807年酒店として創業した老舗だ。現在は味噌,醤油など醸造系の食品を製造販売している。
2011年3月11日東日本大震災の津波により,八木澤商店は店舗,工場を全て失い,さらに従業員一人を失った。当時8代目社長は東京におり,当時専務だった9代目が現地にいた。9代目は震災直後から八木澤商店の復興を決意し,一人の解雇も出さないと決意した。当時,多くの会社が一旦解雇し,社会保険で社員の生活を確保するという方法がとられている中での決意だ。
9代目は,この震災の直後に社長職に就き,被災した人たちのために働く社員や,全国からの支援を見て,やれると確信したという。たぶん,この確信はどちらかというとやらなければならないという信念だったように思う。
震災から3年たち,復興はまだ7割ということだ。しかし,震災を機に直販比率を増やし,多くの黒字を出す企業にまで復活した。会社は社員を守り,社会に貢献しなければならないという信念は言うは簡単だが,実践は難しい。それも,工場も店舗も何もかも失い人しか残らなかった状況下での実行は凄みがある。
9代目の報告は宮沢賢治の農民芸術概論綱要を引用して次のような言葉で終わった。
「世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。」