名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№1497 断り屋,あやまり屋

№1497 断り屋,あやまり屋

 弁護士というのは断り屋,あやまり屋という面がある。弁護士の場合,依頼者側がいつも正しいとは限らない。依頼者に落ち度があって,どうにもならなくなって弁護士に依頼することもある。そのような場合は弁護士は相手の要求に対して断ったり,時にはあやまったりしなければならない。

 たとえば,商品に欠陥があって大きな被害が出た場合,企業としては担当者だけでは対応できなくなることがある。こういう場合には弁護士に依頼されることになるが,弁護士は被害者に謝り続け,なんとか話を収めてもらう努力する。

 企業の経営破綻は弁護士の断り屋,あやまり屋的な性格が最も発揮される場面だ。企業から依頼を受けると弁護士は直ちに財産の管理を初め,債権者に受任の通知を出す。
 「こんな悪いやつを弁護するのか」
 「泣き寝入りしろというのか」
 などと罵声を浴びせられることもある。

 弁護士の場合,居直りという方法があって,「できないものはしかたがたない」とか,「裁判してください」とか,けっこう冷淡に対応していく。こういう場合の私たちの任務は依頼者を守り,依頼者の経営が維持されるよう最大限の手配をすることある。思い切り居直り,断り,時間を稼ぐということもする。

 こうした,弁護士の仕事がいかんなく発揮されるのはやはり民事暴力のような場合だろう。暴力団など乱暴者が,こちらの落ち度をネタにいろいろ言ってくるような場合,弁護士の強い姿勢は必ず役に立つ。なお,勘違いしてはいけないことは,強い姿勢というのはけっしてやくざを怒鳴りつけたり恫喝したりすることとは違う。言葉は丁寧でも譲らない線が明確であるということを示す姿勢こそが本当の意味での強い姿勢だ。

 もちろん,依頼者と弁護士との間では何が問題であったか,依頼者は何を反省するべきかはちゃんと話し合っておく。これは依頼者の今後につなげる大切な弁護士の仕事だ。