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№1491 情勢分析が経営者の指導力を生む

№1491 情勢分析が経営者の指導力を生む

 マーケットの流れを読み解くというのはかなりおもしろい。

 そして,経営者にとってマーケットシグナルを読み解くことは単に事業戦略を策定するにとどまらない効果がある。それは,従業員を初めとした関係者に事業参加への意欲,「希望」をもたらすものになる。世の中の荒波の中にあって経営者が確かなチャートを持っている確信すれば,多くの人たちはその経営者についていくことだろう。

 たとえば,今年,8月21日の日経新聞にはこんな記事がある。

「造船・重機械大手が産業用ロボットなどの精密機械事業を強化する。川崎重工業は2016年3月期に、住友重機械工業は15年3月期に同事業が稼ぎ頭になる見通し。精密機械は造船や車両などの重機部門に比べて量産効果が出やすい。利益率が高い同事業を拡大することで収益力の底上げを目指す。
 川重の場合、精密機械事業のけん引役は自動車の溶接・組み立てロボットだ。とくに人件費の上昇に直面する中国では「自動車や電子部品組み立て産業で需要が高まっている」(橋本康彦ロボットビジネスセンター長)という。」

  中国はかねてより人件費が高騰し問題になっている。中国は安い労働力を背景に世界の工場として発展してきたのだから人件費の高騰は中国経済の構造そのものを変えてしまう大きな圧力となる。中国は経済構造の変革にやっきだ。

 この記事は当然それを反映している。人件費が高くなればそれにかわるロボット産業が伸びていくに決まっている。それだけではない。今後,中国は利益率の高い製品,高技術の製品を伸ばしていこうとするだろう。

 もし,あなたの会社が機械の精密部品を生産し,販売する会社であったとしたらこの情勢をどう読み解くだろうか。あるいは,既に中国に進出し終えた会社であればどうだろうか。

 中国の経済構造が変化しつつある情勢下で,自社の製品が売れ筋になっていくと判断した場合はどうだろうか。今の情勢を的確に分析し,その中で自社が動くべき方向を具体的に述べたなら,社員にとっては大いに「希望」が湧く話になるだろう。