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№1442 苦楽をともにする

№1442 苦楽をともにする

 社長だからと言って贅沢をするわけにはいかない。飛び抜けた贅沢をすることが社内での特権階級を生み出し,社内の一体感を失わせる。これは本当だろうか。

 土光敏夫さんは日本経団連の会長を務め、「ミスター合理化」と辣腕を振るった。石川島重工業・石川島播磨重工業 社長、東芝 社長・会長を歴任し,日本の経済成長を支えた。「めざしの土光さん」というのはあまりも有名だ。彼のような大物経済人であっても朝食はメザシで庶民の生活と変わらないと尊敬された。

 史記列伝の登場人物,李広将軍は漢の文帝に使えた。知略に優れ,匈奴は彼を大いに恐れた。彼は軍規を簡略化したので兵も大いに喜んだ。恩賞や下賜品を受けると部下に分け与えた。飲食は士卒と同じ物をとった。水や食料が欠乏したときは,兵卒が飲み終わるまで李広は水に近づかなかった。兵卒が食べ終わるまで李広は食事をとらなかった。兵卒は喜んで彼のために死に,勇猛に戦った。

 日本でも中国でも奢らないリーダーは尊敬される。

 ビジネス中国語の教科書には企業文化の模範が記されている。そこでは,ヒューレットパッカード(HP)が紹介されている。主にコンピュータやプリンターなどコンピュータ関連製品の開発・製造・販売・サポートを行うアメリカ合衆国の企業である。社員の多様性を尊重した社風"HP WAY"でもよく知られる。

 中国語の教科書ではHPが企業文化で,HP社の社長のあり方に触れている。
 
  很多公司一旦发展壮大后,总裁就开始很多特殊的待遇。比如说有自己的私人飞机。

(多くの会社ではひとたび大きく発展すると,代表者はすぐさま特別な待遇を始める。たとえば自分の自家用飛行機を持ってしまう。)

 これに比べてHP社の社長は違う。HP社の社長が青島から北京に移動したときには記者と同じようにエコミークラスの座席に乗車していた。と教科書は紹介する。

 この教科書は中国がWTOに加盟して間もないころに作成された古いものだが当時,すでに会社文化のあり方について議論があった。そのして,リーダーが謙虚であることの意味を紹介している。

 司馬遷は李広のことを褒め称え,次のことわざを引用する。
「桃や李はものを言わないが,木の下には自然と小道ができあがる。」