№1436 「マネジメントできる人材」の特別なところ
人を働かせるとは人を伸ばすこと
「人間を『働かせる』以上は,必ず相手の能力を伸ばすことになる。どの方向に伸ばすかによって,相手が人間として,そしてまた経営資源として,果たして生産性を高めるか,それともまったく上げられないかが決まる」
経営を分析する,会議をしきる,面接を行うというような「技能」は学ぶことが出来る。生産現場で言うなら機械やシステムを動かす技術などは学ぶことができる。
「しかし」とドラッカーは言う。「人材を育成するためには資質が求められ」「その資質とは誠実さである。」
従って,
「他人を評価する際に,誠実さよりも頭のよさを重視することはない。」
組織における誠実さの核心
この誠実さは,けっして人付き合いのよさ,人に愛情を注ぎ込む,仲間とうまくいくということがその資質とは限らない。
組織における誠実さの核心とは次のことだ。
「部下に対しても自分に対しても,仕事への厳しさを要求する。高い基準を示し,その基準が満たされるよう期待する。『何が正しいか』だけを考え,『誰が正しいか』などという点は決して問題にしない」
カーク船長とスポック
こんな風に書くと,スタートレックのスポックのような人格が浮かび上がってくる「合理性」こそ至上の価値というあのスポックにはある意味優れた管理職としての資質があるのだろう。
社長は組織の文化を育てる徳を持つ
しかし,人は合理性だけでは動かない。スタートレックでもスポックは特別好かれていたわけではない。社長や上司に愛情を感じる関係や,自分に対して責任を持ってくれるという安心感,日常生活での楽しさ,こういった人間が幸福になるためのエッセンスも必要だ。やっぱり、カーク船長はいいですね。これは組織の文化の問題だ。この文化を引き出すのもまた、すぐれた管理能力ある人材ということになる。
(引用は「マネジメントⅢ」日経BP社より)
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