名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№1433 中国弁護士とのつきあい

№1433 中国弁護士とのつきあい

 当事務所では中国弁護士との提携して日本企業向けのサービスを提供している。
 海外弁護士とのつきあいはどのようにしていったらよいだろうか。

 中国においては契約書が中国語であることや,役所との対応も大きな役割となるため,中国語の役割が格段に大きい。また,日系企業を対象にサービスを展開する中国人弁護士は日本語が堪能でであったり,所内で日本語対応の体制をとっていることが多い。そのため,貿易関係などの問題を除けば,英語の役割が小さく,中国人弁護士とのやりとりも日本で十分通用する。

【弁護士の選択】
 中国では弁護士と言っても質的な差がかなりある。倫理的にも問題のある弁護士がないわけではない。

 中小企業の場合,人材の不足から法律問題に対応できる中国人スタッフを確保することは難しい。そのため,中国側弁護士の日本語能力や,日本語対応ができる事務所の体制がどれだけ整備されているかが重要となる。

 また,日系企業の案件をどれだけ行っているかも重要な目安となるだろう。ジェトロなどがこうした弁護士を紹介している。

 その法律事務所のホームページやジェトロ関係で執筆している論文なども重要な参考資料となる。

【弁護士とのやりとり】
 こうして能力を見極めた上で,弁護士とのやりとりはかなりしっかりビジネスライクに進める必要がある。案件の処理方針,解決の見通し,処理にかかる時間,費用など細かく聞いていくことは必要なことだ。日本人の場合,専門家に従うという「美風」があって,そのまま鵜呑みにすることがあるが,しつこく尋ねていくことは必要なことだ。

 法律論から言えば,中国と日本との法律はよく似ている。漢字文化なので契約書などもぼんやりと分かる。中国の法律ついてはジェトロがかなりの部分翻訳を出している。類似の紛争事例についてジェトロが解決事例を示していることがある。中国法務の書籍もある。中国ではインターネットで必要な条例、通知を入手できることが多い。こうした事情から、中国弁護士とはきちんと根拠にさかのぼって確認し、その内容を理解することはできないことではない。

 やりとりで難しいのは,中国人弁護士が「人脈」を利用して解決を図るという場合だ。中国には独特の人間関係があって,郷土での人間関係,学校での人間関係,政府機関,共産党などを通じての人間関係(中国の法律事務所には事務所内に共産党の委員会を持っていることが少なくない)など当地に生きていないとつかめないような人脈がある。

 この問題は表面的な法律的解決を超えている部分がある。ある意味,中国人弁護士の実力を示すとも言える