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№1343 熟年ビジネスと企業ネットワーク

№1343 熟年ビジネスと企業ネットワーク

 高齢者社会の進行は早い。かなり前から高齢者向けのビジネスが盛んに実践されている。高齢者を対象としたビジネスは出そろった感がある。相互の競争は激しさを増すが,そんななか,出そろったビジネスのネットワーク化も進んでいるようにも思う。相互に価値あるから企業ネットワークの仲間入りができるのであって,競争力がなければ仲間に入れてもらえない。

 広島県に「人生安心サポートきらり」というグループがある。これは司法書士成年後見業務から徐々に発達していったものだ。平成23年7月から事業を開始したというからまだ2年ちょっとしかたっていない。これは,一定の中間所得層を対象とした老後を考える会員制クラブのようなものだ。


 サービスの対象を老人が遭遇するさまざまな法的事務を代行していく。自宅を売却して施設に入る,入院時の手続き,住宅の入居・保証人,果ては葬儀まで行う。成年後見の互助会のようなイメージだ。

 コンセプトは「家族代わりのサービスをサポート」「家族が一人増える」というものだ。広島県ではだいぶ話題になったようで,民放テレビなどけっこう報道されたらしい。行政委託事業も行っているようだ。

 この事業のおもしろいところは,高齢者をめぐる様々な事業のネットワークの中核になろうとしているところだ。老後の生活をいかに過ごすか,子供らに何を残すかといったテーマの需要は年々高くなっている。高齢者をめぐる事業も出そろっている。それをつなぎ合わせてネットワークとして高齢者の需要に応えていこうとしている。

 このネットワークと福祉事業のコラボレーションもあるだろう。高齢者向けの商品,たとえば衣類などの事業とのコラボレーションもあるかもしれない。時代の中に新しい傾向が生まれたときには新しいビジネスが登場して徐々に統合されていく。その過程では事業者同士の合従連衡が存在する。この合従連衡の中には中核的な企業,人物が登場してより大きなビジネスが展開される。

 「きらり」の教訓は,単純に高齢者向けの新しいサービスを展開したという点だけにとどまらない。企業ネットワークの中核となって,溢れる高齢者向け情報を整理し,提供し,高齢者の生き方の選択をサポートしようとしてる点だ。多様な企業群に対して,「きらり」を中核とした秩序を作ろうとしている点だ。