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№1340 「1970年」

№1340 「1970年」

 1970年と言えば,言わずと知れた安保闘争の時代だ。ベトナム戦争があって,たくさんの人たちがこれに反対していた。国際的にもリベラリズムの大きな潮流が席巻していた時代だ。

 1960年終わりから70年にかけての時代は今の若い世代からすれば遠い昔のことだろう。50年も昔の話になってしまう。若い人たちの多くが既存の価値を疑おうとしていた。時代に反逆することが時代を創ることのように思われたし,実際新しいものが生まれてきた。

 ビートルズインド音楽を取り入れ,多くの若者達が東洋文化に強い関心を持った時代でもある。これはキリスト教的な文化,あるいは近代合理主義に対する反省でもあったように思う。日本ではちょっとわからない状況があったように思うがやっぱりインド文化にあこがれていた人は多かったかもしれない。

 私の感覚では日本の1970年というのは非常に奇妙な印象を持つ。日本人で有りながら欧米流の東洋に対する憧れがあったということはないだろうか。ベトナム反戦運動もどこか米国流の反戦運動をまねていたようなところはなかったろうか。

 しかし,それでも1970年は日本の歴史に大きな足跡を残した。既存の価値を疑う姿勢は真実に近づくための姿勢でもあった。タブーを破り,本当の幸せは何かを求めようとした姿勢でもあったと思う。

 多くのデモも,駅前に集まるフォークの運動も、みな個人が自由でありたい,政治や世の中に対して自分の力で変えていきたいという民主主義の息吹のようなものを残したのではないだろうか。

 私は当時,まだ小学生でお兄さんやお姉さんたちの行動を遠くで見ていた。しかし,幸せの形は誰かがどこかで決めるものではない,自分で作り上げるものだという当時の意識は私に植え付けられたように思う。それに,何か仲間と心と心が触れあうような,人が人を本当に大切にするというようなそんな心のあり方も学んだように思う。