№1338 欲張ったらうまくいかないM&A
昨日は事業承継セミナーを実施して,弁護士の立場から報告した。
M&Aについてはいくつかの事例がある。わかりやすいのが日本M&Aセンターなどの仲介会社を利用する例だ。証券会社や銀行などもM&Aを斡旋する。これは中改訂数量が売価の1割程度ということでけっこうお金がかかる。
この場合価格の決定が難しい。会計士としては一応の価格計算はできるが,幅があるため,あとは当事者間の合意ということだった。逆に言えば,会計士や税理士などによって株価を一応計算し,それをたたき台に価格を協議するということになる。
さらに,のれん分けの例としてM&Aもあることが検討された。事業を分離して店舗を売るというものだ。この場合,店舗価格プラス収益分が売価ということになる。店舗の利益を還元して価格を算出して売り出すということだろう。
ともかく,企業のつきあいから生まれるM&Aについては私もよく経験する。
たとえば,企業が借金ばかりになって倒産寸前という時に,事業譲渡,あるいは会社売却によって借金を引き受けてもらうということは少なくない。
いろいろ議論が出ておもしろかったが,最後に出席者からは「欲張ったらうまくいかない」という言葉出たのは印象的だった。自分の事業を高く評価しすぎて,結局売れなかったということだ。企業価値は計れない。中小企業の場合,自社を過大にに評価する傾向はあるかもしれない。しかし,これはある種やむ得ないところがある。一生かけて育ててきた企業は社長の価値そのものという面があるからだ。あんなに苦労したのにこの程度かという気持ちはあるだろう。