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№1309 食品偽装事件

№1309 食品偽装事件
平成25年12月19日付けで消費者庁はホテルなどの食材偽装表示事件について優良誤認,おとり広告などを理由に景表法に基づく措置命令を出した。景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」という。産地偽装などうその表示などにより消費者に誤った認識を与える行為を規制している。

 処分内容を見ると、たとえば、ビーフステーキの表示に対して、「生鮮食品に該当しない牛脂その他の添加物を注入した加工食肉製品を使用していた。」となっている。

 この事件は当初ホテル側は「誤表示」という言葉で切り抜けようとしていたが、メディア、消費者から激しい非難を受けた、「偽装と受け止められても仕方がない」として誤表示の言い方を撤回した上、社長は辞任することになった。当初の「誤表示」という言い方が、火に油を注いだ結果となった。

 こうした偽装問題に対して,企業としてはいかなる対応が最も適切だろうか。また,弁護士としてはどのようなアドバイスを企業に行うべきだろうか。

1. 事態の正確な把握
  メニューに表示された食材が偽りであったという点はもはや逃げようのない事実となる。しかし,その偽りがどの範囲に及ぶかについては正確に把握する必要がある。偽装が一店舗とどまるのか,それとも組織全体に及ぶのか直ちに明らかにする体制を組む必要がある。

2. 事態の正確な評価
  ホテル側がは本件を認識不足による「誤表示」として,事態を小さく見せようとした。偽装表示が社会的に大きな問題に発展することは予想できたかもしれない。その場合,「誤表示」という小手先の言い抜けが通用するかどうか過去の事例からして正確に評価する必要がある。

3. 事態の収束に向かうための方策
  メディアが殺到するような場合,社員,納入業者などどこからかは情報が漏れていくと考えなければならない。行政機関の介入も行われる。そのような場合,透明性をどこまで明らかにするかは難しい問題となる。
  もはや逃げられない事態と観念した場合には,率直に謝罪し,透明性の確保を図っていくことが重要となる。この時にはメディアは責任の取り方について追求してくるだろう。

4. 再発防止とコンプライアンス
  こうした事件はどこかで収束するだろう。再発防止策,コンプライアンスのあり方の見直しの表明は事態の収束にも役立つだろう。こうした問題は弁護士の専門分野の一つとなる。

5. 弁護士の役割
  弁護士は会社に対して常に第三者的に見る。弁護士は仮装される相手方(行政あるいはメディア)などがどこまで正規任追及してくるかを検討する。こうした作業を職業的に行っているので弁護士のアドバイスはこうした局面では役立つだろう。責任の取り方についても弁護士のアドバイスは役立つと思う。


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