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№1301 顧問弁護士がいたならば・・・

№1301 顧問弁護士がいたならば・・・
 ある会社の不祥事が発覚し、会社存亡の危機がおとづれた。マスコミは一斉にこの会社をたたき始め、大手の取引は一斉に手を引いた。売上はどんどん減少して、もはや社長がメディアに向かって謝るだけではすまなくなった。

 ここはけじめを示すために社長は退任し、会社から一切手を引いて、さらに第三者委員会など設けてこの問題に決着を付けなければならない。この企業の人間関係がしっかりしていたならば、たとえマスコミが一斉にたたこうと、危機は切り抜けられる。

 こんな情勢下では普通は顧問弁護士が活躍するはずだ。この場合の顧問弁護士は危機管理に対して才能を発揮するタイプの弁護士でなければならないことは言うまでもない。その弁護士が仮に特定の事件を解決する能力が長けていたとしても、危機管理に能力を発揮するとは限らない。

 例えば、中国産を国内産として産地の偽装が発覚したような大きな不祥事のために会社の信用が大きく傾いた場合、危機管理に優れた弁護士は何を読むであろうか。

 この場合、「危機」あって会社に打撃を与える最大のステークホルダーを特定することになるだろう。偽装についてはメディアが当面する最大のステークホルダーだということになる。
 もちろん行政による調査、処分、警察による捜査なども大きな問題に違いない。しかし、行政処分の軽減、不処分の獲得はメディアの沈静化のために行うという位置づけ方が正確な分析結果ということになる。

 そのほかにも顧問弁護士のやるべきことはある。メディアが一斉に騒ぎ始めると社長の気持ちは萎えてくる。時にはうつ状態うつ病になる。この気持ちをいかに維持するかも顧問弁護士の役割だ。それは、かならず展望を示す事に他ならない。

 こうした危機にはいろいろつけ込んでくる連中もある。とりあげず株を売って、商売から手を引けとか、おれに任せろ方式で会社の乗っ取りをはかる手合いもいる。偽造文書を積み上げていってごまかしを図れなどというハゲタカのような連中も現れる。顧問弁護士はこうした訳の分からない連中からの誘惑から依頼者を守ることになるだろう。

 企業の危機にあって、顧問弁護士にきちんと相談できなければなんのために顧問弁護士を頼んでいたか分からない。顧問弁護士を頼む時には危機にあって、本当に親身になって動いてくれそうな人格であるかは非常に重要な要素だ。