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№1296 企業は一人では何もできない。

№1296 企業は一人では何もできない。

  Firms are working more and more as part of broader networks to create customer value
「企業は、独立した存在というよりも、顧客のために価値を創造するより大きなネットワークの一部として機能する場面が増えている。」

 これは、「オープンイノベーション」(英治出版)の第10章を担当した、ウィム・ハンハバーベクの冒頭部分の文章だ。現代社会において企業は専門化しているし、インターネットや流通革新によって相互の関係が密接になっている。

 企業単独で戦略をもって行動することは徐々に少なくなり、企業間連携をはかりつつ、企業の関係、企業との顧客との関係、企業ネットワークとの関係をマネジメントする例が増えている。

  これは大企業間だけのテーマではない。ドラッカーのいうところのウォンツ「顧客の要求」に対して、相互に協力できる企業がより有利な価値を提供できる。ある意味、企業の平等化傾向は歴史的な必然のようにも見受けられる。例えば、質の高い商品を持っていても、質は2番目でもより効率のよい流通システムを持つ企業と連係を図れた企業の方が優位に立つことがある。

 このような企業相互の関係、ネットワーク、あるいはクラスター、企業コミュニティといった関係は何もオープンイノベーションだけが取り上げているテーマではない。オープンイノベーションの射程範囲は企業が他の組織と関係を築くことで、イノベーションを起こそうというところにある。

 もっとも、イノベーションの意味自体が抽象的で、よく分からないところがあるが、自社にないアイディアが他社もしくは他社との連係の中に生まれた時に、それをいかに自社内部のアイディアとして取り込んでいくか、さらに企業活動に結びつけるかというところに研究のテーマがあるのだろう。

 ともかく、企業は他との連係があって企業価値を生み出していくという冒頭のアイディアは実に示唆に富んだ、魅力的な言葉ではないかと思う。