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№1277 アイスクリーム転倒事故

店舗経営者のみなさんご注意を

 ショッピングセンターのアイスクリーム売り場で老人が転倒して大けがをした。この事故について岡山地裁は事故について店舗に安全配慮義務があるとして2669万0173円の賠償責任を認めた(岡山地裁H25.3.14.判時2196号99頁)。

 店舗経営者のみなさん。よくよく注意する必要がある。床が滑りやすくなっていたりすると危ないということになる。

事例はこうだ。
 当日はハロウィンキャンペーンがあって多くの客でごったがえしていた。サーティーワンアイスクリーム店の前には行列ができていた。中にはアイスクリームを落とした人もいたらしく、床は落ちたアイスクリームで滑りやすくなっていた。

 老人は事故当時70才の老女で、ショッピングカートを押して歩いていた。そこで足を滑らして転倒し、右大腿骨?上骨折及び第二腰椎圧迫骨折を起こした。私の経験では老人の大腿骨は骨折しやすいので転倒すると多くがこのタイプの骨折を起こす。

判決文では次のように言っている。
「不特定多数の者を呼び寄せて社会的接触に入った当事者間の信義則上の義務として、不特定多数の者の日常あり得べき履物、行動等、例えば、買物袋を載せたショッピングカートを押しながら歩行するなどは当然の前提として、その安全を図る義務があるというべきである。」とした。

 そして、飲食スペースにアイスクリームが落ちて床が滑りやすくなっていることは予想すべきで、清掃時間を延ばしたり、客が歩行しないように誘導したりして安全を配慮するべき義務あったというのである。
 
  もっとも、本件では老人もアイスクリームが落ちているかも知れないと思って注意して歩くべきだったという理由で20%の過失相殺を認めている。

施設の安全配慮事務に関する他事例
 判例解説によると施設管理にかかわる安全配慮義務についてはいくつか事例がある。エスカレーター事故については大阪地裁昭和50.9.30判時815.70、東京地裁昭和56.10.28判時1042.115、名古屋地裁昭和43.8.28判時539.26などいくつかあるようだ。

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