ひーちゃんが帰省した。彼は来年某大企業に就職が決まっている。大学院を出て、会社では研究職になると本人は言っている。
大学院の修論準備中の彼だが、会社からは既に宿題が出されている。見ると「会社のしくみ」という簡単な本を読まされ、その感想文を書かされるというものだ。それも、一章ごとに作成せよと言うものでけっこう細かい。今は「経営理念」、「経営計画」のところを読んでいる。
しかし、会社の仕組みなどは理系のひーちゃんにはどうでもよいことのように写っているらしい。でも、とうさんは警告する。
「京大出てるから、変なレポートを書いても、ばかとは評価されないだろう。」
「だけど、人事の人にはこいつは手を抜く人間と評価されてしまうぞ。」
「手抜き人間なんて評価されたら会社ではかなり致命的になるんだから。」
「君は理系だが、評価する人間は文系だからな」
ひーちゃんを見ていると大企業の新人教育が見えてきて、けっこうおもしろい。