№1262 修正申告と不服申立期間
税務調査を受けて問題点を指摘されるとします。税務の世界では「非違事項の指摘」というようですが、私達の世界では余り見受けられない言葉です。
税務当局が非違事項を指摘すると、修正申告を求めます。過小な深刻に対して、ある種の和解が成立し、一定金額を修正して申告することで手打ちとなると言う感じです。もちろん、税務行政では和解などということは考えられませんが、実務上修正申告という和解がまかり通っています。
税理士さんはだいたいこの当たりで活躍します。税務署に対してどれだけ抑えが効くかというようなことが税理士さんの実力だったりします。修正申告した場合、法定申告期限から1年を過ぎるともう撤回できないというのがこれまででした。つまり、割合に速くにけりがついてしまうことになります。
しかし、平成23年国税通則法が改正となり、5年以内であれば更正の請求ができるようになりました(国税通則法23条1項)。一旦、修正という手打ちをしても、5年以内であれば異議申立、行政不服審査、裁判と言った手続きを取ることができます。
さらに、当局が修正を勧める場合(修正の勧奨と言います)、更正などをすべきと認めた金額の根拠を示さなければならなくなりました(国税通則法74条の11第2項、3項)。
税務署相手に争いたくないなどということをよく聞きますが、そんなに心配しなくてもよいかと思います。争いの結果ですが、国税庁の発表によると異議審理の結果、納税者の主張が認められた割合は全体の9.9%にのぼります。不服を申し立てても損はないのではないでしょうか。
それに、不服を申し立てたばかりに、税務署からいやがらせを受けるようになったということは余り耳にしません。