№1249 類似商品と不正競争防止法違反
本件はコイル状ストラップ付きタッチペンが問題になった事例である。
被告はこのタッチペンの類似商品を売ったということで任天堂がこの会社を訴えた事例だ。
不正競争防止法は「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」(2条1項3号)を禁じている。
本件では、タッチペンがうまく任天堂のゲーム機に収まるサイズであること、ペンがオイル状のストラップで結ばれていること、そのほか、ペン先やペン胴、尻、滑り止め、マツバ紐で機会を結ぶことなど多くの類似点があった。
不正競争防止法は類似しているもの全てを違法としている訳ではない。形態そのものがありふれたものであれば保護の対象としない。つまり、ありふれた形態の商品は「特段の資金や労力をかけることなく作り出すことができるものであるから」法による保護に値しないとされている。
そのため、裁判ではコイル付きタッチペンがありふれた商品かどうかが争点となった。
具体的には法2条1項3号の中の、「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」の解釈の中に「ありふれた形態」が含まれるかどうか、本件がそれに該当するかどうかが争いになった。
このありふれた形態かどうかと言うのは、こんな基準で決められる。普通の人からみたら、こんなの基準とは言えないと思うかも知れない。
「商品を全体として観察して判断すべきであり、全体としての形態を構成する個々の部分的形状を取り出してそれぞれがありふれたものであるかどうかを判断し、その上で、ありふれたものとされた各形状の組み合わせることが容易であるかどうかによって判断するおは相当ではない。」
つまり、全体的にみて直感的に決めなさいと言うことと同じで、裁判官の感性によって左右される。
※ 任天堂 コイル状ストラップ付きタッチペン