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№1211 リソース・ベースド・ビュー

№1211 リソース・ベースド・ビュー

   「世界の経営学者は今何を考えていくのか」(入山章栄:英治出版)を毎晩少しずつ読んでいる。ずいぶんおもしろい本だ。

 それはリソース・ベースド・ビュー(resource-based viewRBV(資源ベースアプローチ)と言われる理論だ。これはとても有名な理論なのだそうで、米国で経営戦略論を勉強している人の中では知らない人はないと言って良いほど有名な考え方なのだそうだ。

 これは企業の持っている資源(リソース)の側から経営戦略を分析しようという考え方だ。筆者によるとこの資源ベースアプローチはマイケルポーターの持続的アプローチ、つまり「持続的な競争優位」の戦略と表裏の関係に立つということらしい。

 ポーターは企業の資源に対応したポジショニングをとっていくことで、持続的な競争優位を作ろうという考え方だ。その場合、どのような資源を持っているかによって、獲得するべきニッチが決まる。

 つまり、すぐれた技術、人材、ブランドといった経営資源はどういう場合にすぐれたと評価できるかを考えることになる。もちろん、すぐれたと言えるかどうかは「持続的競争優位に貢献したか」という基準で計られることになるだろう。

 このような資源ベース理論に対して、多くの議論が起こったらしい。その中で、一つの理論が科学的であるということはどういうことであるかについて筆者の考えが披露されている。それは立証可能かどうかと言うことが基準だという。

 リソース・ベースト・アプローチではこんな結論を出している。

① ある企業の経営資源(リソース)に価値があり(valuable)、それが希少なとき(rare)、その企業は競争優位を獲得する。

② そのリソースが、他社には模倣不可能で(inimitable)、またそれを代替するようなものがないとき(not-substitutable)、その企業は持続的な競争優位を獲得する。

 たとえば、高精密部品の製作を強みとしている場合、経営資源は加工技術ということになる。この加工技術は労働者を熟練にまで高める教育技術が必要だろう。労働者が定着するための良好な職場環境も必要だ。熟練した加工技術を支える製造機械や治具、材料の調達の必要だ。加えて、振動を防止したりする工場環境も用意しなければならない。その総合が「加工技術」だとした場合、そうした経営資源は希少であり、他にまねできない。その結果として競争優位を獲得する。

 この場合、加工技術の内容によって、業界内のポジションが決められ、会社は業界内のポジションの維持、拡大に向けて活動することになる。資源から言ってできないことはできないし、できるところでは強みを発揮するということになる。

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