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№1209 中国企業の取引における法的留意点

№1209 中国企業の取引における法的留意点
 NBLという法律雑誌に「中国企業の取引における法的留意点」という連載がある。かなりよいので紹介したい(NBL№1005)。

 おもしろいのは "Battle of forms" という言葉だ。中国企業と契約を締結する際に、どちらが契約書の書式、formを準備するかは重要だというのだ。

 日常の契約書では双方既に契約書が用意されていることが多い。日常的な業務を行うのにいちいち弁護士などの外部専門家が介入するというのも煩わしい上、費用もかかる。中国間との契約であっても日常的な取引、少額の取引に弁護士が介入することは少ない。

 弁護士が必要とされるのは「典型的な契約類型であっても重要性が高い契約(長期の売買基本契約や大規模な営業拠点の賃貸借契約等)、非日常典型的な契約(研究開発契約やM&Aに関する諸契約等)、日本法人が当事者となる契約(合弁契約、技術ライセンス契約、販売代理店契約等)」については外部専門家の関与が期待される。

 中小企業の場合、とてもワキが甘く中国進出するに際しても賃貸借や売買契約など詰めが非常に甘い。契約書なども見せてもらうと中国側が作ったいいかげんな契約書がそのまま利用されたりしている。また、時には税務対策とかで中国側の求めに応じて2つ契約書を作ったりしている。たぶん、日本ではそんなことはしないだろうが、中国だとけっこう言いなりに契約書を作る例が多いように思う。

 ともかく、専門家の関与が必要とされるような重要な契約書の場合、日本側がフォームを用意することは重要だとされている。
 それは中国側がいいかげんなことが多く、いろいろやり直しが繰り返されれる。中国側フォームの場合、変更箇所についてさらに意味を確認しなければならない。つまり、翻訳の正確性を担保することが難しいのだ。契約のバージョン管理も面倒になる。

 こういうことは別に日本人同士の契約でも重要なのだが、外国との契約では特に重要な作業となる。