名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№1201 お客のタイプ

№1201 お客のタイプ
 弁護士の依頼者のタイプは実に多様だ。

 裁判などは弁護士にとっては日常でも依頼者にとっては非日常だ。弁護士にとっては多数の依頼者の一人でも、依頼者からはたった一人の弁護士だ。依頼者の立場に立つことをともすると忘れることがある。私にとってはこんな程度でも十分かと思われることでも、依頼者にとっては不満足ということもある。

 もちろん、なんでも依頼者の言うとおりにすることはできない。それは事件処理に有害であったり、無駄だが手間のかかる作業の繰り返しになったりするということもある。時には依頼者に対して強くでなければならないこともある。この当たりの調和はとても難しい。

 こうした問題はある種の商売人の心得に通じるところがある。「お客様は神様」と頭を下げて「商い」を発展させていくという話は枚挙にいとまがない。ウォルマートだって、そのルールに「顧客の期待を越えろ」という教訓がある。弁護士の場合は依頼者との関係では優位に立つので、まだましかもしれない。

 ともかく、「依頼者にとってはたった一人の弁護士」ということを肝に銘じて、辛抱強く依頼者に耳を傾けることになるだろう。

 私達弁護士は相手をイメージし、私と相手とは違うんだというところが大切だ。性格も経歴も、立場も全て違うことを理解するべきだ。相手の価値観や精神状態を心の中に再現し、その中で何が合理的な選択か、何が無理なのかを感じ取り、事件解決のための最良の関係を築き上げていくことが大切なのだろう。

 それができなければ、その弁護士にはその依頼者に合わせる能力が無いのだから辞任をして、事件から手を引いた方がよい。

① 事件は常に顧客の中に真実がある。顧客の中の真実に意識を集中させろ。
② 顧客との対話に時間を時間を惜しむな。
③ 顧客に対する早いレスポンスと、引き受けた事項の確実な処理を徹底させろ。