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№1194 会社分割と債務の整理

№1194 会社分割と債務の整理
 債務が根雪のように溜まった企業では会社分割が有効だとよく言われる。

 特にサービス業で従業員が20人ぐらいいたり、製造業でも50人ぐらいの規模になると会社分割が有効なことがある。会社を分割して事業を承継するため、顧客の継続、設備の継続、雇用の継続などを図りやすい。そこそこの規模になっている企業を一から作ることは大変だ。人も機械もそう簡単に作れる訳ではない。

 会社分割というのは文字通り会社を分割する手続きだ。会社を1つの会社を2つに分けるという手続き言う。

 例えば、卸業で大手Aチェーンに卸している部門とインターネットて直販する部門と分かれているような場合、それを分離して独立した会社にするような場合が考えられる。あるいは、製造業と運送業が組み合わされている場合に2つに分けるということがある。その組み合わせはいろいろだ。

 Aという会社から特別な部門をBという会社として独立させようという時、A社の負債はA社に残ったままになる。比較的業績のよいB社はA社の負債から解放され、事業の業績を伸ばすことができる。

 これはある意味、夢のような手法だが、このような手法は政府も事業再生の手法として導入している。産業活力再生法というのがあって、「過大な債務を負って・・・事業継続が困難になっている中小企業」(法2条23項)が「会社の分割または事業の譲渡により・・・事業の再生を図る」(法2条21項)ことを目的として定められている。

 旧会社の債務、つまり元の会社の債権者は分割により取り残されてしまうので、それに対する対応は必要となる。極端な場合は本当に取り残してしまうのだが、それでは不都合な場合がある。

 例えば、詐害行為取消権と言って、新会社に債務を追及する手法がある。これは債務逃れだけのために会社分割をした場合、分割を詐害行為ととらえて新会社に対する責任追及を認める手法だ。

 あるいは、旧会社の債権者を切り捨てることで、新会社の信用も失い、その後の融資などの資金確保に困ることもある。

 あるいは、税金対策もきわめて重要だろうし、登録など免許の承継問題にも注意しておかなければならない。