№1171 事業承継と連帯保証の諸
論点
論点
ちょっと前まで、「社長以外に2人の連帯保証人を作ってください。」などと言われて本当に困ることが多かった。時には自分の妻、娘まで連帯保証人した事例もあった。最近では金融庁はこの慣行を見直し、原則経営者に限定することになった。
しかし、古い時代に連帯保証がそのままになって、会社倒産に伴い請求されるというような事例もなくない。こうした問題に対する対処法は経験ある弁護士でないとなかなかできない。
最近で問題になるのは事業承継に伴う連帯保証の取り扱いだ。
新社長になって旧経営者の連帯保証を抜きたいという場合、銀行や保証協会の傾向はおおむね連帯保証の変更に応じてくる。もっとも、旧経営者の不動産が担保に入っている場合は連帯保証からの離脱を認めない。
新社長が雇われ社長となる場合、新社長が連帯保証人を回避したいというような場合がある。これはケースバイケースだ。私の顧問先にも連帯保証人になっていない事例がある。財務状態がよいこと、銀行に対する情報公開が適性であること、会社に対する財務監視の仕組みが明快であることなどいくつか条件がある。
亡くなった社長の遺族が連帯保証の相続をいやがる場合。これはかなり難しい問題だ。当然に連帯保証も相続する。遺族に対しては限定承認などの活用があるかも知れない。しかし、会社存続のために苦労することになる。
雇われ社長の経営陣の交代があるが、新経営陣が連帯保証をいやがる場合、旧社長は連帯保証からの離脱を会社に求めることができるか。会社は連帯保証から解放する義務はあるか。法律家の直感としてはなんらかの義務があってよいと思うがどのように構成して良いかまだ分からない。現在、なんとかしようとして奮闘している最中だ。
外にも連帯保証にまつわる問題は多い。