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№1163 法律的思考の勧め

№1163 法律的思考の勧め
 私たち弁護士は論争に強いと言われる。確かに、私達は職業として論争しているので強くなっているのかもしれない。

 ともかく、トラブルになった時、最後には権利、義務の関係で勝負を付けることになる。権利があれば、最後には論争に勝つことになる。その権利がある、義務を負担するというのはどういうことだろうか。

 例えば、「物を売ったが代金を支払ってくれない。」という簡単な話の場合、私達は次の様
に考えていく。

 ① 売買契約を締結した。
 ② 物を渡した。 
 ③ 期限が来たが、代金を支払わない。

 この3つの事実がはっきりしていれば、こちらには代金請求権が発生する。裁判でも勝つ。つまり、権利が発生するためには「要件」とい言われる事実があって、その事実がそろえば権利が発生すると考えるのだ。私達は常に、ものごとをこの「要件」と言われる事実群にそって整理し、論争に備えていく。

 「ソフトウェアの契約をしたが請負代金を払ってくれない。」というような場合でも同じだ。
 ① ソフトウェア開発の約束。何を・いつまでに・いくらで作るかが契約だ。
 ② ソフトウェアの作成、納入
 ③ 検収
 ④ 代金不払い

 法律家はこうした事実群の整理に専門性を発揮する。つまり、事実の分析というのは非常に重要になる
 ① ソフトウェアの契約とは何か。
   当初あいまいだったものが、徐々に契約の要件を作りあげていく。どこかで、内容が特定するのであるからそれが契約内容となる。
 ② 契約の履行とは何か。
   ソフトウェア開発の場合、客と相互に意見交換しながら組み立てていく。そういった作業が契約の履行だ。
 ③ 検収とは何か。
   受け取っただけで検収と言えるか。あるいはさらに利用して使い勝手が整理されてから検収というか、といったことを検討していく。