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№1152 クロード・モネ

 高校時代の友人にモネが大好きな男がいた。当時、絵画などにほんとんど興味がなく、絵画の鑑賞など縁のないものと思っていた私は絵画に関心をある人が同級生にいるということにとても驚いた記憶がある。

 彼はモネの睡蓮を褒めていた。彼はモネに何か評論めいたことを言っていたのだが、高校時代のことだから何を言っていたかはもう忘れてしまった。私にとって重要だったのは、評論の中身より、絵画を評論しようとする者が私のすぐそばにいたことの方が重要だった。彼は確かに私よりも先に進んでいたのだ。私が絵画に関心を持つようになったのは実にそのおかげだ。

 モネは美しい。光の持つ透明感が開放的な自由さや純粋さを表しているような気がしてくる。モネの中でも「アルジャントゥイユのひなげし」と「散歩、日傘をさす女」は私にとっては大切な絵の一つだ。友人の影響を受けて、私はモネの中からこの2つのを選び、自分の部屋に貼って置いた。

 当時、夏目漱石が好きで、日傘をさす女に三四郎の美禰子が「ストレイシープ」と言ったシーンや、坊ちゃんとマドンナが停車場で出会う場面なんか思い浮かべていた。モネの「散歩、日傘をさす女」は1875年の作品だ。この作品に登場する女性は1875年の持つ郷愁がある。

 「散歩、日傘をさす女」のそばには子供が立っているからたぶんこの女性は母となっている人なのだろう。しかし、高校時代の私には年上の若い女性として写っていた。1875年の持つ郷愁は私の恋に対する憧れと重ね合わされていた。

 左 「アルジャントゥイユのひなげし」1873    右 「散歩、日傘をさす女」1875