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№1149 困った老人、再雇用の問題

№1149 困った老人、再雇用の問題
 高年齢者雇用安定法の改正により、ともかく65歳まで雇用することが義務づけられた。多くが60歳定年+継続雇用制度ではないだろうか。継続雇用制度もうまく整えておかないと問題が起こる。

 定年するような人は職場でも指導的な立場に立っていたことが多いが、中小企業では人間関係が狭いので定年後の嘱託の地位でも中々意識を変えられないため要注意だ。

 例えば、再雇用採用したものの、本来嘱託でパート、アルバイトの位置づけであるはずなのに、雑用をしない、もと部下だった今の上司の言うことを聞かない、職場では人を呼び捨てにするなどという例もある。

 あるいは、老人であることを盾に取り、難しい仕事は医師に止められているとか、年金との調整があるから残業しないとか、思うように働かない例もある。職場の中でもそれまで指導的な立場だっただけに中々是正できないことも少なくない。

 いろいろ聞いてみると、うまくやっている企業は定年後の役職名や机の位置、仕事内容などはっきり分かる形で身分の変更を作っているようだ。

 定年前から定年後の嘱託に備えて、社員教育プログラムを用意している場合もある。社員に対しては定年前から一定の教育を始め、意識を変える心づもりを作ってもらっていたりする。

 あるいは、定年前の能力によって、単純作業として採用する場合、指導者として教育係になってもらうような場合、いろいろメニューを用意してる会社もあるようだ。

 もちろん、常にうまくいくとは限らない。指導者であったことが忘れられず、わがまま放題という「困った老人」になる場合もある。こうした場合、65歳前に解雇あるいは雇用の継続を打ち切ることができるだろうか。結局これも解雇問題の一つであり、合理性や相当性などいろいろなことを検討して、改善しなければ解雇することになる。