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№1132 不動産ファンド

№1132 不動産ファンド
 弁護士をやっていると時々不動産ファンドに出くわすことがある。
 不動産ファンドとは、投資家等から集めた資金で不動産を購入し、転売や家賃収入によって収益を上げ、また投資家に還元する仕組みのことを言う。不動産ファンドを仕掛ける会社にはいくつか銀行などのバックアップをかちとっている例も少なくない。

 ファンドが集める金額は巨額なので、いつも驚いてしまう。私の知らない世界があって、私には見当もつかないような金額が動く。エグジットとか、エクイティとか、SPCとか彼らは知らない言葉を使う。サービサーとか、ポンカスであるとか、彼らと話していると業界用語が頻繁に出てくる。いっちゃ悪いが不動産取引につきまとうある種のいかがわしさを横文字でごまかしているようにも見える(読者にファンドの人がいたらごめんなさい。)。

 ただ、私達の立場からするとファンドが介入してくると非常に助かることが少なくない。ファンドにしてみると、土地を安く仕入れ、転売するか、一定期間の賃料収入によって利益をあげることを最大の目標にする。潤沢な資金を利用して土地を買い取ってくれる。売り主にしても、放置すればみすみす競売されてしまうような物件についてファンドが介入することによって、何らかの利益を得られる場合がある。

 ただ、問題なのは必ずしもファンドがちゃんとしているとは限らないという点だ。不動産は額が巨額な上に、錬金術のように大きな利益となる場合がある。そのため、山師ような連中が群がってくる傾向にある。競売だと知るや、よく分からない者から連絡があり、任意売却でしませんかなどと言ってくることがある。
 
 競売物件を安く仕入れ、大きく転売して差益を得ていく。あるいは、手数料をとっていく、そうしたことを狙った不動産業者は本当にたくさんいる。

 私達弁護士が不動産を扱う時はいつも注意を要する。土地は価格が大きい上、土地が動く時には、それまでの生活や事業がその土地から無くなることが多い。生活や事業の破綻する場面と関連するため、そうした弱みにつけこんだ動きが少なくない。

 弁護士がそうした不正に手を貸す結果になることは避けなければならない。また、弁護士はこうしたいかがわしい人たちがたむろする社会の中で最大限依頼者の利益を守って行動することになる。