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№1216 強制執行

№1216 強制執行
 判決などで勝訴してもそれに従うとは限らない。そんな場合には私達は強制執行を行う。相手の預金や不動産、時には給料も差し押さえる。建物を明け渡さない場合には明け渡しの強制執行を行う。

 正確に言うと差押えは財産の凍結手続きだ。さらに強制執行するためには預金の支払いを受けたり、不動産を売却することになる。売却というのはもちろん競売手続きだ。

 一般に財産というのは無くなりやすい。いろいろ争っているうちに隠されてしまうこともある。裁判しても判決に時間がかかり、せっかく勝訴しても財産が無くなったり隠されたりすることがある。

 その場合には私達は「仮差押さえ」という手続きを行う。これは裁判などに先立って現状を凍結する手続きだ。不動産を仮差押えする、預金を仮差押さえする、給料や退職金を仮差押さえするといった手続きを行う。仮差押えは意外に多い。

 「仮差押え」決定は早い。早ければ1日か2日で裁判所の決定が出る。決定が出れば直ちに不動産には仮差押えの登記がなされ、預金は凍結される。相手方にも知らされないまま決定が出されるのが普通だ。

 相手にも知らされず、十分な審理もなく決定されるので、うそを言わないという意味で裁判所に保証金を供託しなければならない(正確には法務局)。もし、うその事実を述べて決定されたのであれば、賠償問題が生じるが、保証金からわれることになる。だいたい、保証金は請求金額の2割ぐらいが相場だ。

 ともかく、我々は最後には強制執行を行う。仮差押えはけっこうあるが、実は競売など最後まで行き着くことは少ない。多くの紛争では判決が出されると自主的に解決が図られる。

 これは、預金や不動産、給料、退職金などがあると逃げられないことが多く。敗訴すればあきらめて自主的に払うことが多いためだ。また、これは貸金などの返還請求事件などのような場合には相手に資力が無い場合が多く、強制執行を諦めてしまうような場合も少なくない。