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№1213 中国法基礎知識 契約法

№1213 中国法基礎知識  契約法
 中国は社会主義国であるため、私達の感覚とはかなり違った制度になっていた。その典型は契約自由の原則ではないだろうか。

 私達の感覚だと、誰と誰とがどのような契約を結ぼうがそれは自由だということになる。しかし、社会主義経済下では長らく厳格な計画経済の時代があったため、必ずしも「自由」という訳にはいかなかった。

 こうした話は今の中国を見ていると、なんだかずいぶん違う。少なくとも中国沿岸部は活気を呈し、なんだかむき出しの資本主義が横行しているように見える。

 中国法の分野では1999年10月1日より、契約法が整備された。この契約法は経済契約法、渉外経済契約法m、技術契約法が統一されたものだ。外国企業の契約も統制するため、日本渉外法務にも無関係ではない。

 そして、契約法の分野では「契約自由」の原則が示された(4条)。契約法は総論部と各論が示され、各論では売買、賃貸借、金銭消費貸借、ファインスリース契約、建築工事、技術契約など15種類の契約類型が示されている。

 契約法総論部分ではだいたい日本法と似たような条文が存在する。
 しかし、日本法にはない特殊な条文も存在する。これらの条文はビジネス分野でもけっこう使えそうだ。

■ 不安の抗弁
 相手の経営状態、信用に重大な悪化が見て取れる場合は、当方の履行を拒絶できる(68条)。例えば、代金を先に支払わなければならない契約の場合、相手企業に信用悪化がある場合には支払を拒むことができる。

■ 実損賠償主義
 中国契約分野では常に相手の履行に不安がある。そのため、契約書に法外な違約金が記載されることがある。中小企業の場合、契約を鵜呑みにしてサインすることがあるため、思わぬ損失を被る可能性がある。実損とあまりにかけはなれた違約金が存在する場合には、人民法院、仲裁裁判所に申し出て減額を請求できる(114条)。この場合、逆もある。つまり実損とかけ離れた違約金である場合には増額を請求できる。