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№1212 中国の変化

№1212 中国の変化
 尖閣諸島問題以来、日中の関係が冷えてしまい、少なくない中小企業が打撃を受けた。しかし、尖閣諸島問題はことのきっかけに過ぎない。私は中国の経済社会の構造が大きく変化し始めていることをひしひしと感じる。

 中国では賃金や社会保障料が急上昇していると言われて久しい。中国国内でも集約型事業は人が確保しにくくなっている。そのためか、中国企業の多くが生産体制の自動化、合理化をめざしている。中国製造業は目下、高品質、高付加価値を猛烈にめざしているように見受けられる。すでに中小企業レベルでも世界に通用する企業が多く出ている。

 中国が強大な市場になっていることは疑いない。問題なのはこの中国市場が国際的な市場と融合している点だ。中国企業は実力を身につけ、高付加価値を有無生産をめざしている。その場合、彼らの商売の相手は中国国内だけではない。EUや北米、ASEANと商品は国際的に流通する。こうしたことをにらんで、上海などでは機械産業から通信産業へ、国内経済拠点から国際経済拠点への構造を変化させる政策を進めている。

 こうした事情は中小企業にあっても大きな影響を受けている。
 例えば、都市問題の発生だ。経済構造の変革に伴い中国では都市計画の整備を進めている。これに環境問題も加わって、都市政策の変化は顕著だ。ある工場が昨日まで歓迎されていたのに今では、別の所に移転してはどうだという話になっているということはめずらしくない。立退保障の問題は早期の情報収集と対応が不可欠となっている。とりわけ、中国での法的仕組みを理解して行動することは必要となる。

 また、中国+1の意味も改めて考える必要がある。中国のリスクを回避するために+1が必要だというのがこれまでのものだが、市場の融合化に伴い,中国だけを相手にする必要もなくなっている。むしろ、「ハブ」の発想が重視されて海外事業展開されている例が増えている。

 例えば、税制面や政治的安定からシンガポールや台湾に拠点企業を置き、中国、ベトナム、タイ、インドネシアに生産工場を置いたり、取引会社を置いたりする例が増えている。サービス業やIT関連業などもこうした「ハブ」の発想で事業展開する例が増えている。

 弁護士や税理士などの役割もこうした中国の変化にあわせてサービスの内容も変化しつつあるように思う。