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№1211 不動産取引と危険な臭い

№1211 不動産取引と危険な臭い
 不動産取引は投機的な側面があるためいつも危険な臭いがある。不動産価格はあってないようなところがある。名古屋の場合、1区画だいたい50坪前後が標準的だが、それに2000万円から3000万円程度のお金は最低動く。ちょっとの操作で200万円ぐらいの誤差は当然生じる。

 大きな土地であれば億単位のお金が動いていくので、この誤差はさらに大きい。さらに、これにビル建設や開発などが加わると土地の値段など分からなくなってしまう。最近では少なくなったが、山林が開発されて大規模な宅地に変化し、何億のお金が動くということもある。

 一方で、人の生活は土地を離れて存在しない。住宅、商売、事業など人の生活には土地は不可欠だ。そのため土地を失う時には悲劇的な状況であることが多い。借金のために競売にかけられ土地を失っていくなどというのは典型的なところだ。

 こうした事情から、大昔から土地の取引にはいつも危険な臭いがつきまとっている。弁護士なども不動産取引に関連して不祥事を起こすことが少なくない。暴力団が土地取引によくからんでいるのは、簡単に大きな利益があげられることと、土地取引には時には人間性を無視してでも強行するとうい面があるからだ。

 しかし、実際の土地取引は驚くほど単純に行われる。我が国の場合、土地登記制度が発達していて、名義の変更をもって土地の移転とするのが普通だ。土地名義人と本人との一致を確認し、名義を移転すれば売買は成立だ。あまりにも単純であるために、びっくりするような事件が起きてしまうのだ。

 権利者が実は権利を持っていないことがある。私達は権利を仮装していると呼んだりしている。
 昨日まで無かったのに、売買当日、不動産に差押えや抵当権の登記が付されているような場合。
 売買代金を振り込んだ直後に名義を押さえられてしまうような場合。
 相続登記をすると考えて書類を渡したのにいつのまにか抵当権設定登記が付されているような場合。
 
 こうした土地取引のさまざまな局面に対して、確実に権利を得られるようにするという視点で、弁護士の専門性は発揮される。