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№1209 リレーションバンキング

№1209 リレーションバンキング
 リレーションバンキングをテーマにしたシンポジウムに出席した。
 リレーションバンキングというビジネスモデルをいかに発展させるかという点でいくつかの報告があった。リレーションバンキングは(私達はリレバンなどと呼んでいるのだが、)融資という銀行の本来ある任務を通じて、企業さらには地域の持続的発展に寄与していこうというものだ。

 バブル崩壊以降銀行の役割が見直され都市銀行や信用金庫など地方金融機関のビジネスモデルとしてリレバンが提唱されてきた。リレバンは米国、地域再投資法(CRA)や コミュニティ開発金融機関(Community Development Financial Institutions;CDFI)などの活動がモデルになっている。

 シンポ報告を聞いていると、どの銀行もリレバンを事業発展のビジネスモデルと位置づけているようだ。報告では経営者塾、ビジネスマッチング、事業再生の3つぐらいのテーマでこれをいかに発展させるかが課題らしい。

 どれも銀行だけでやりきるには限界がありそうだ。
 リレバンのテーマは2つ。
 ① 一つは顧客と銀行とのリレーションを深化させ、顧客の事業価値に対する定性評価をいかに正確にしていくかという点
   これはかねて言われている情報の非対称が問題となる。貸し手と借り手という絶対に超えられない対立関係がそこにはある。

 ② もう一つは地域発展の原動力となっていくという課題だ。銀行が地域マネジメントに関わっていくということになるが、これは当然のことながら銀行だけできるものではない。

 情報の非対称性の課題について、それぞれの銀行の姿勢、あるいは担当者の能力の問題でもある。青臭い議論を言えば、企業としての社会貢献であるとか、人間尊重の経営であるとかこうした理想を共通するような同条作りが大切かも知れれない。なぜなら、情報の非対称性は銀行への不審部分から情報をすべて明らかにできないという企業側の事情が大きいからだ。

 もう一つの課題については、私はかねがね、第三セクター、あるいはNPOの役割に注目している。米国においてもウッドストック研究所など地域作りのためのNPOが積極的に銀行の格付けに意見を述べているという。そうでなくとも、地域全体をマネジメントできるNPOが行政や、銀行、企業、市民の求心力となって地域をマネジメントできればこんなすばらしいことはないというように思っている。