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№1169 中小企業中国進出のリスク

№1164 中小企業中国進出のリスク
 人件費の上昇が続く中国だが、尖閣諸島問題が生じたことで、いよいよ中国はどうもだめだという雰囲気があらわになってきた感じがする。日経新聞など読んでいてもベトナムとか、インドネシア、インド、バングラディッシュと脱中国に向けた議論が盛んだ。少なくとも、中国リスクを考慮したプラスワン志向進んでいるようだ。

 ともかく、他国との関係は常に浮き沈みがあるので、少しの変化で動揺しているようでは外国に進出するだけの覚悟はなかったということになるのではないだろうか。中国は依然魅力的な市場だ。市場がある以上、日本、米国、EUの大企業の進出は続く。企業としては大局を見誤ってはならない。

 そうは言っても、現在中国は大きな転換期を迎えていることは明らかだ。賃金は上昇し、中間層は増えている。個人の生活が成長するに伴い都市計画の整備も進んでいる。環境問題に対する対応も急激に進んでいる。こうした過渡期にあって、中国とつきあいのある企業は時代の変化に対応できるだけの体制を整備する必要があるだろう。

 私達の目から見れば、法的対応の整備は必要は不可欠と思われる。中小企業が海外に進出する場合、煩雑な手続きについては当該開発区のスタッフに委ねることが多い。あるいは、信頼できる中国人を雇い入れ土地など任せきりにしたままになっていることがある。無事許可が得られ、操業が始まったことで問題は無いと思い込んでいる。

 しかし、実際には契約の重要な部分であいまいになっていたり、不利なままになっていたりすることがある。中国における貴社の土地、建物の賃貸借契約はきちんと整備されているだろうか。賃料の不当な値上げに対応できるだろうか。都市計画の変更に伴う政府からの立退要求に耐えられるだけの契約書だろうか。就業規則はきちんとしているだろうか。解雇撤回の要求に対して耐えられるだけの内容を持っているだろうか。建物の建築請負契約は大丈夫だろうか。

 当事務所は今年も中国対応に力を入れ、中国進出企業への応援を強化していく方針だ。昨年までで、大連、北京、青島、上海といくつかの中国法律事務所との協同関係を作りあげることができた。今年はこうした中国法律事務所と共同して日系企業のためにあらたなサービスの提案をしていきたいと思っている。