№1154 意匠権侵害
【意匠権とは何か】
意匠権というのは「物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されている。ここで重要なのは「視覚を通じて」と「美観」の2つが重要な要素となる。
そのため、物品の外観に現れないような構造的機能は保護の対象とならない。本来特許で保護すべき特定の形状を、意匠として登録しても視認性、美観の要件を備えなければ意匠権としては保護されないことになる。
【意匠権の具体例】
典型的なのは着物やどれすなどは登録意匠を取得することは少なくない。斬新な形状や模様、色彩が登録の対象となる。例えば、ちょっとだけ話題になったが、着物ドレスなどは登録意匠をとっている。
着物ドレス → http://www.bridal-sakura.com/
意匠権として成立が認められるためには、新しく開発されたデザインが既存のもの(公知意匠)とは異なることが必要となる(意匠法3条1項)。また、斬新な部分について、着想者の創造性が発揮されていなければならない(同法3条2項)。そして、いくつかの特徴から全体として美観を起こさせるものと言えるようなものが意匠権として保護されることになる。
【意匠権侵害の判断】
① 要部
意匠権侵害の有無を判断する場合には、まず、その意匠の特徴的な部分を選び出す作業を行う。これは「要部」と言われているもので、例えば、「着物とドレスの組み合わせ」を要部とすれば、意匠権侵害した商品がこの要部を共通しているかどうかを判断することになる。
② 同一性、類似性
要部をそれぞれ比較して同一性、類似性を判断することになる。
この時、誰の目からみて同一であるかということだが、意匠権が市場における意匠の保護なのであるから、当該商品の流通、展示、販売、利用方法などの過程でかかわる「一般需要者」にとってどうかというのが判断基準となる。
こうした問題については近時意匠法24条2項が改正され、あるていど決着がついた言われている。
意匠法24条2項(登録意匠の範囲等)
2 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。