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№1112 リーマンショックから脱却(製造業)

№1112 リーマンショックから脱却(製造業)
 悪夢のようなリーマンショックからいくつかの企業が立ち直りつつある。
 私の顧問先の例を紹介したい。

 この会社は製造業だ。この会社は自動車関連企業だ。リーマンショック円高による海外進出から2010年3月ころには売上は3割近く減少した。その後徐々に回復したものの7割程度にとどまった。銀行関係はまず追加融資で乗り切り、その後リスケを行っている。負債額は6000万円程度だったものが、一気に2億円近くまで膨らんだ。

 社長の方針は2つ。徹底した合理化と事業の多様化による拡大だ。4つの工場を1カ所に統合し、搬送や人員管理に伴う不合理を是正した。社長はもちろん私財は投入し、余分な財産は全て売却、換価した。

 人員を削減すると共に従業員一人当たりの生産性を見直した。その上で、従業員のやる気を維持しつつ最大の生産性を確保するためのノウハウを懸命に磨いた。社員の団結を作る為に明確な理念をかかげた。それは急激な合理化を梃子に社内の団結を強化することを考えたのだ。

 この会社のえらいところは急激なダウンサイズをする過程を「次のステップの準備」と位置づけたことだ。つまり、徹底した合理化により会社の無駄を省き、生産性を上げ、社内の一丸となった秩序を作りあげた。この状態で仕事さえくれば以前よりさらによい会社になると考えたところだ。

 こうした削減は徐々に事業自動車産業からさらに薬品、食料品分野にしかけた。事業の多様化はそう簡単には進まない。2年かけてようやく多様化が進展した。最近になってそれが功を奏し、売上が急激に回復してきたのだ。すでに、会社の合理化は完成しており、売上の増加は以前より大きな増益となる。会社はリスケをやめ、平常の返済に回復した。さらに、債務総額を1億円以下にするよう奮闘している。