名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1074 幹部養成と組織変革

№1074 幹部養成と組織変革
 現在ある顧問先と経営課題について協議を続けている。銀行対応、社内組織、営業の3つについて協議を進め、先日は社内教育と組織作りについて協議した。この企業は幹部養成が最大の課題となっている。

 企業に取って幹部の位置づけほど難しいものはない。一方で、幹部の育成に成功した企業は伸びていく。これは当たり前のことだ。社長一人でやれる範囲は限られている。単純に考えて15人の人間を使える幹部が5人いれば75人使える。この5人を使える幹部が3人いれば225人使える。

 単純計算すればそうなる。実際には組織の効果はこれにとどまらない。仕事の単位は大きくなり利益率も上がる可能性がある。
 ともかく、利益の上がる仕組みを持っている会社にとって、次の最も重要な課題が幹部養成だ。

 幹部は誰でもなれるかというそうでもない。そもそも、幹部とは何かと問われるとよく分からない。

 顧問先との協議では幹部の養成と組織のあり方が問題になった。
 この会社はリーマンショックの大危機を乗り切り、最近急激に成長を開始した。事業の拡大に幹部の成長が追いついていない。幹部は時間をかけて成長する。本人自身の自覚や知識、ノウハウの獲得に時間がかかる。部下たちの尊敬を集めるのに時間がかかる。

 例えば、部下に押しつけて楽しようという姿勢と役割を与えて実力を発揮させる姿勢と混同し、自分の役割まで部下に押しつけてしまうズルイ姿勢がある。これは幹部の資質の問題もあるが社風の改善の問題もある。報告の体制だったりする。幹部が現場に関わりすぎて、忙しいのかもしれない。何よりもこの会社に幹部の定義が明確でないことに問題がある。

 「この会社での幹部とは何か。」その問いがこの会社では必要なのだ。
 急激に成長する状況下で、組織のあり方を見直し、幹部に位置づけを与える。「組織は戦略に従う。」急激に変化する事業にあって、新しい戦略、それに応じた新しい組織、新しい組織に応じた幹部のあり方が明確でなければならない。

 結局、事業全体を2つの大きな事業部に分け、その中で幹部の位置づけを明確にしていくということが議論された。特に、この事業部の評価の基準、つまりはこの事業部の部長に対する評価の基準、別の言い方をすれば「成果」の基準が何かを明確にしていくことになった。