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№1055 Efficiency Vermont(バーモント効率化社)

№1055 Efficiency Vermont(バーモント効率化社)
 ボストンでの2日間は土日のお休みで,月曜日からバーモンド州に移動して今回のツアーの目的に入った。今回のツアーの目的は米国の環境政策の調査にある。まず,バーモンドロースクールで専門家たちと交流し,エネルギー効率の施策に関する意見交換をした。そして,昨日は Efficiency Vermont を訪問した。


 Efficiency Vermont社は電気エネルギーの効率化を図ることを目的とする会社だ。バーモンド州政府と深く結びついており,コーポレーションとは言っても,第三セクターのような立場になっている。20年間のスケールで州政府のエネルギー効率(電気の使用効率),現在のエネルギー使用量の削減計画を建て,3年ごとに実績を示して実績に応じて成功報酬を得ている。

 40年の歴史を持ち,職員数は200名を超える。本社建屋は古い紡績工場を改造した者であるが,随所にエネルギー効率とリサイクルを意識したデザインとなっている。例えば,受付は非常におしゃれな作りになっているが,フロントは廃品のトタンの波板利用されている。受付後ろのボードも旧紡績工場の廃材をおしゃれに組み合わせてある。インテリアには洪水で流れてきた流木が利用されている。

 40年間の実績からかれらの業務は多岐にわたっている。
 例えば,家庭での電気使用量の削減量を達成するために小売段階で省エネルギー製品を売れる仕組みを作り上げていく。あるいは,中小企業での生産活動に対して省エネルギー生産のための技術指導を実施しする。ピーク電力量を減らすための技術的装置や,啓蒙活動も彼らの役目だ。建築関係でもエネルギー効率のよい住宅やオフィスを提案している。

 半官半民のようなところがあるが,これは日本でのビジネスでもいくつか参考になる。
 日本でもエネルギー効率をビジネスにした事業は多い。例えば節電マネジメントを事業に立ち上げ,節電高に応じて報酬を得るビジネスもある。トヨタ方式で製造ラインの合理化を図るのもエネルギー効率化事業の1つだ。ISOのコンサルタントもそうだ。

 Efficiency Vermont社の特徴は政策的なプログラムそのものを商品にしている点だ。この会社は州政府との契約をとりつけ,エネルギー効率化の政策立案とその実施を提供して対価を得ている。個々の企業や個々の家庭でのエネルギー効率化を図っているが,対価は政府から得ている。

 日本の場合,補助金という形で省エネに対して費用が支出されることはあるが,政策立案,実行の対価として補助金が支払われることはない。また,家庭内の電化製品から小企業でのライン,従業員の教育など幅広く扱っていることも彼らの特徴だ。もし,日本で同様のビジネスを展開するとしたら,電力会社を顧客としたビジネスということになるだろう。