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№1003 中小企業者と消費者法

№1003 中小企業者と消費者法
 中小企業で物を売ったり、サービス(我々の世界では「役務」と読んでいる)を売ったする事業では消費者法は大切だ。

 エステサロンをやって、消費者契約法、割賦販売法、時には医療法に抵触することがある。ソフトウェアの販売か、物の販売か、サービスの販売か分からないような場合で、消費者契約法に触れることもある。

 最近は消費者庁の権限も大きくなり、営業停止処分までできてしまうので注意を要する。それでなくても、消費者問題専門の弁護士たちの間では消費者契約法の活用が盛んに行われている。

 複雑でわかりにくいが、基本は消費者にウソをつかない、消費者に十分な説明、情報を提供するということが大切だ。

【例えばこんな事例はどうだろう】
 A社はソフトウェアのリース契約と宣伝用ホームページの保守管理などを併せて契約した。そのときに、無償で宣伝用ホームページを作成すると説明した。リース料の総額は220万5000円である。

【判決:大阪地裁H23.9.9、判時2142号48頁】
 この事件では
 ① ソフトウェアの提供
 ② 保守管理契約
 ③ ホームページの無償作成
の3つの内容があった。このうちの役務の提供とされるの②、③だ。ソフトウェア自体はきわめて安価であった。

 判決は①、②、③が一体のものであるにもかかわらず、ホームページ作成を無償としたという点で価値判断を誤らせるものだとした。ソフトウェア販売、リースというわかりにくい内容について説明が不十分であるとしたのである。その上で損害賠償14万8625円の支払いを命じた。