№998 未払い残業代の請求に付加されるもの
サービス残業については極力回避することをお勧めする。万一、社員が反乱して未払い残業代を請求してきた場合にはけっこう高く付く。
未払い部分は当然支払わなければならないが、それだけでなく法律は+αを定めている。未払い賃金の裁判になった場合、使用者はけっこう大変だ。だから、日頃からきちとしておくことが必要だと思う。
① 付加金請求権
労基法37条に違反して法定時間労働を超えて働かせた場合、当然割増賃金を支払うことになる。前回、話したサブロク協定がないのに一日8時間、週40時間を超えて働かせると法律に違反する労働ということになる。
この割増部分については、「付加金」と言って、未払分と同額の支払いが命ぜられてしまう(労基法114条)。この付加金は2年以内に請求しないと消滅してしまう。
② 遅延損害金
賃金の利息は通常6%である。未払い賃金も同じだ。
しかし、「賃金支払い確保等に関する法律」という名前の法律があって、その労働者が退職すると遅延損害金が割り増しになって、14.6%になってしまう。これはけっこうバカにならない。
もっとも、退職後も支払わない「合理的理由」がある場合には免責されるが、合理的理由の判断はかなりきびしい。