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№993 36協定、法定外時間労働

№993 36協定、法定外時間労働
 知り合いの中小企業の社長と話していたら、「うちの社員は働くのが好きなんだ。」「家に帰ってもやることないんだよ。」なんてことを言っていた。ちょっと待った。その言い方は変だぞ。よくよく聞くと、36協定も締結していなかった。これはあぶない。

 労働時間は法律で決められている。これを法定労働時間という。週40時間(労基法32条1項)、一日8時間(同条2項)だ。労働時間の間には原則1時間休憩を入れなければならない(労基法34条1項)。

 うちの社員は働くのが好きだから休日も出勤しているとか、居残って仕事しているとか言っていても通用しない。残業代を払わないなんてのは論外だが、残業代を支払っても許されない。

 「急な仕事だ、みんながんばって残業してくれ。」と頼んでも、法律の制約は存在する。
法律上の制約、法定労働時間を超えて働いてもらおうというのであれば労働者と協定を結ぶ必要がある。これを私たちは36協定(サブロクキョウテイ)と呼んでいる。

 36協定の締結手続きについては社労士の先生に相談して欲しい。そこそこの会社については社労士ときちんと顧問契約を結んでおいて、雇用問題についてきちんとしておく必要がある。

 例えば、社員が会社を恨んだ場合、36協定のことや未払い残業代を持ち出すこともある。2年分の未払い残業代、年14.6%の遅延損害金、罰則(労基法119条)の適用がある。
 
 未払い残業代だけでも100万円から200万円ぐらいいくこともある。しかし、何より問題なのは労基署の指導などが入り、36協定を整備せざる得なくなった場合もかなりつらい。社内ではどうしてそのようになったか分かっているだろうし、改めて違法に残業させていたことを社内に知られてしまうからだ。