№984 「茹でガエル」蛙は知らない間に死んでしまう。
「茹でガエル」という言葉あることは知らなかった。
蛙をいきなり湯に入れればびっくりして飛び上がり九死に一生を得るのだが、水から徐々に温度を上げていくと危機を察知できず、知らない間に茹であがって死んでしまうというのだ。
本当にそうかは知らないが、経済の場合、知らない間に構造が変化して気づいたときには茹であがっているということは十分あり得る。私たちはリーマンショック以降の経済構造の変化をどのように見るべきだろうか。
山田先生の問題意識は金融不況以降の日本、愛知の経済構造が変化に中小企業は対応できているだろかという問題提起であった。
金融不況下の最大の構造変化はグローバリゼーションのあり方そのものの変化だ。世界市場はBRICsが市場として大きな力を持ちつつある。経済が発展しているということはそこにいる企業も、中小企業も発展しているということだ。これは単に海外の中小企業を脅威と見るという議論だけではない。連携の相手方として見ることもできるという点で違いが出てくる。
さらに、昨今の特徴は大手企業の海外進出は伸びている。しかし、伸びていると言っても、先進国内での自動車需要の変化と、BRICsとでの需要の変化は違う。
先進国はハイブリッドカー、電気自動車と変化しつつある。そのためそこで使われる製品も大きく違っている。電子部品や車体軽量化のためのプラスチック化が進んでいる。
一方、途上国は安価なガソリン車を求めている。こうした自動車需要の変化に対してもメーカーは敏感に対応している。
こうした変化の中で、中小企業は次の一手を打つ必要がある。それは生き残りをかけたイノベーションだ。瀬戸の陶磁器は衰退したが、セラミックなど企業としては新しい分野で生き残っている。産業は衰退しても企業は生き残り、発展することもある。