№880 美しい人
数ある美術作品の中でもっとも美しいと感じたのはミケランジェロのピエタ像だ。死したイエスを抱きかかえたマリアはとても美しい。このマリアはとても若く、イエスの母という感じがしない。若い女性のもつ何か特別な魅力を持っている。清潔で美しく、やさしさにあふれている。
昨年私は友人とドイツに行った際に、ドレスデン国立絵画館に寄り、サン・シストの聖母の絵をみた。子供を抱いたマドンナの下に天使が肘をついて上を見上げているという絵だ。この天使の絵はよく産婦人科などの看板で利用されている。このサン・シストの聖母はラファイエロ傑作とされている作品の一つだ。確かに、ここに出てくるマドンナは愛らしい。しかし、緊張感と慈愛に満ちたミケランジェロのピエタ像に比べるべくもない、と私は思っている。
美しい女性は常にドラマの中にある。
お釈迦様が悟りを開かれた時、セーナー村の少女、スジャータがパヤス(乳粥:蜂蜜入り)を捧げた。釈尊はパヤスを食した後に、菩提樹のほとりで瞑想に入り、ついに開眼した。スジャータはきっとかわいかったと思うな。