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№874 マネジメント開発 幹部、後継者の育成

№874 マネジメント開発 幹部、後継者の育成

 「将来を見通すことは誰にもできない。このため経営層が合理的で責任ある判断を下せるためには、自分たちの判断にどこまでも従い、危機にあってもそれを守り抜いてくれる人々、つまり将来のマネージャーたちを選り抜き、彼らの能力を伸ばし、力を試さなくてはならない。」(ドラッカー「マネジメントⅢ」)


 パタゴニア社長は2度の倒産の危機を乗り切り、企業の持続性こそが重要であると考えた。企業が社会的に支持され、社会に貢献するためには企業が持続性を持つことが求められる。社長は社員に、顧客に、社会に「よい人生」を与える責務を担っている。そのため、社長は企業の持続性のために様々な工夫を凝らさなければならないだろう。

 会社の持続を考えるなら、中でもマネジメント開発、マネージャーの育成は長期的ではあるが極めて重要な課題だ。

 この点、ドラッカーは次のように述べている。
「今日では、マネージャーの能力は生まれや天賦の才で決まるものではなく、後天的に伸ばせることが分かっている。将来の経営層を体系的に育成し、技能を身につけさせる必要がある。運や偶然に任せてはいけないのだ。」

  こうした、自社内でマネジメントできる者、つまり幹部や後継者を育成する作業は大企業では当たり前になっている。しかし、中小企業ではどうだろうか。あなたの企業では幹部や後継者を養成するプログラムを持っているだろうか。少なくとも、養成しようとしているだろうか。

 ドラッカーはこのマネジメント開発についておもしろいことをいくつか指摘している。
① 研修コースはマネジメント開発ではない。
  これは研修コースは経営のツールであって人格を育成するものではない。むしろ、研修コースの中には何の意味があるか不明なものもあることを指摘している。日本でも朝早く起こしてみたり、何十キロも歩かせたり、軍隊式の後継者教育があるが、私に言わせればばかばかしい。

② 昇進や異動のプログラムとマネージャーの育成とは違う。
  ドラッカーはいろいろおもしろい指摘をしていて、ここで全部を紹介できないのが残念だ。ドラッカーは「可能性」を早い時期から選び出すことは無意味だという。実際、その通り、頭角を現す者は現れるべくして現れる。可能性を引き出すことは必要だが、最初から「有望株」と決めつけて育成しようとすることは無意味だ。

③ 人材育成は人格を変えることではない。「あくまで、よりよい仕事をできるようにするだけである。」
   これは言い言葉ではないか。私も勘違いをしていた。