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№841 社長の生産性、知的労働の生産性

№841 社長の生産性、知的労働の生産性
 中小企業においては社長が知的労働者としての生産性も担っている。大企業のようにすぐれた人材が組織的に配置されるということはない。せいぜい4~5人程度の人材が社長のもとで率いられていくということになる。

 ブルーカラーのに生産ラインに従事する者とホワイトカラーの知的労働に従事する者というおおまかな分類があるが、中小企業ではそう単純な区別はつかない。そんな中で、社長は自らの生産性はどこに発揮されるか常に意識する必要がある。

 しかし、社長の仕事は基本的に知的労働に属する。社長の仕事は営業、人事、生産、財務など事業のあらゆる場面に及ぶ。そんな中で、社長の生産性を考える上ではドラッカーの「知的労働者(knowledge worker)」という概念が有効ではないだろうか。

 肉体労働の生産性は時間当たり、あるいは賃金当たりの生産量が尺度になるだろう。しかし、知的労働者は異なる。「いかに正確かつスピーディーに図面を仕上げたとしても、それが売れない図面だったなら無駄骨であり、およそ生産性があがったとは言い難い。言葉を換えれば、知的労働者の生産性とはおおむね品質を指すのである。」

 それは事業の目的を理解し、その目的に従ってプランニングをし、さらに行動し、成果をあげ、立派に責任を果たしていく作業でもある。

  知的労働者は「自分というものをわきまえ、自分はどのような仕事に適しているか、どういった働き方が最大の成果につながるかを心得ておくことが欠かせないのだ。」「知的労働おいて実践とプランニングが分かちがたく結びついている一方、自分自身でプランニングを行う力も必須である。」

  最後は、生産性=利益という尺度で測られることになるが、事業の目的を理解し、常にある種の創造性(イノベーション)を発揮する労働者が知的労働者ということになる。中小企業社長はこうした作業も担っている。