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№785 ユートピア、夢は必ずかなう。

№785 ユートピア、夢は必ずかなう。
 ユートピアは理想郷と訳される。私たち経営者は常に理想を目指し邁進する。夢がなければ人生はつまらない。夢があれば人生は楽しい。

 ニュー・ラナークスコットランドサウス・ラナークシャーの都市ラナークから約 2.2 km のところに位置するクライド川沿いの村である(Wiki)。1825年、この村にロバート・オーウェンたちは理想とする紡績工場を作り上げた。当時、産業革命真っ最中で、労働者は使い捨てだった。子供も女性も劣悪な環境下で長時間働かされていた。

 オーウェンたちはこの惨状を改善するために理想の工場を作ったのだ。ニュー・ラナークは非常に清潔な工場が作られ、労働者には住宅があてがわれた。子供のための教育施設があり、工場労働者のための劇場もあった。充実した職場環境に労働者たちは生き甲斐をもつようになり、工場の生産性も飛躍的に増大した。事業は成功を収めていたのだ。

          ニュー・ラナーク

 ユートピアと言えば、我が国では宮沢賢治の羅須地人協会がある。宮沢賢治は農業学校の教師を辞し、自宅にこの協会を設立して農業を始めた。若い農民たちとともに農業技術ばかりでなく科学の勉強をし、農民のための新しい芸術運動も展開しようとした。1926年8月から翌年3月までのわずか7ヶ月のことだが、宮沢賢治にとってはもっとも重要な実践だった。

 オーウェンニュー・ラナークでの成功後、アメリカで共同組合運動を展開したが成功しなかった。羅須地人協会も事業としては成功していない。しかし、彼らの抱いた理想は今も脈々と引き継がれている。夢というのはそういうものだ。ニュー・ラナークはイギリス人の心をつかみ、今では世界遺産になっている。賢治の理想が日本中に広がっていることは論を待たない。

 「夢」が正しければ必ずかなう。それは必ず後を引き継ぐ者が現れるからだ。