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№781 中小企業の存在意義、Think small first.

№781 中小企業の存在意義、Think small first.
 中小企業の存在意義とはなんだろう。
 大学の講義を引き受けるとこういった抽象的な課題も考えざる得ない。

 元来、中小企業は多様でパパ・ママビジネスのような家族だけ営む小さな企業から、上場も間近かと思われるような大きな規模の企業まであって単純ではない。

 業務内容も小売り、製造、流通、卸し、サービスといろいろだ。それぞれが社会の中で役割を持っている。独自の顧客を持ち、独自の商圏を持ち、独自の商売のスタイルを持っている。

 このように多様に展開する中小企業のあって、共通項はほとんど「規模」しかないように思われる。中小企業にとって「規模」は制約要因であると同時に、自らの存在価値でもあるような気がする。

 「規模」故に市場の範囲に制約があり、「規模」故に独自のニッチを獲得している。顧客情報をいち早く入手し、いち早く対応し、顧客の個別要求に応えていく。中小企業は大企業も含めた全国民の多様な要求を実現する点で、国民の多様な価値観を経済に具体的に反映する存在だし、逆に経済は中小企業の存在があって初めて国民の多様な価値観に奉仕することができると言える。

 民集主義とは誰もが幸福に、多様な自己実現を自由に展開できる社会と定義し、豊かさは幸福と個性の実現とするならば、経済的民主主義は国民の豊かさが経済に反映され、経済が国民の豊かさに奉仕する状態だろう。

 経済の民主主義そのためには、「規模」故に国民に一人一人と直接接することが宿命づけられている中小企業と国民一人一人との関係が豊かでなければ実現されない。どんなに国が富んでも、国民一人一人が豊かでなければ、幸せな国民とはならない。

 だから、私たちはかねがね、「中小企業を第一に考えよ。(Think small first.)」と言っている。