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№738 愛知中小企業家同友会総会

№738 愛知中小企業家同友会総会
 愛知中小企業家同友会は愛知県内の3000社を超える事業者を組織する中小企業家のための団体だ。今日は第50回の定時総会が行われた。発足、50年ということになるが、同友会の歴史は日本経済の変遷に応じて変化してきた歴史と言って良いと思う。

 今回の総会のテーマは「『同友会らしい』黒字企業をめざそう」というものだ。「黒字」というのはある意味では当たり前だ。企業である以上、利益を生み出さなければならない。しかし、「利益」結果であって目的ではない。「利益」は企業活動の制約要因、活動の到達点を示す指標ということができるだろう。

 問題は、「利益」の中身だ。あなたの企業は何をして利益を上げてきたのか。顧客はあなたの何を支持してきたのだろうか。この支持の中身が社会の要求、求めにあうものであれば社会はあなたの企業を支持し、企業は持続的に発展する。社会に支持されている以上、企業は持続するに決まっている。

 ところで、今回の総会テーマには「同友会らしい」というのが頭についている。この団体の特徴は「人間尊重」を掲げている点だ。「同友会らしい」というのは人間尊重した経営スタイル、ビジネスモデルということになる。

 人は誰だって尊重されたいと思うし、幸福でありたいと思う。社会に支持されること、企業が持続的であるということはこうした人間の基本的な要求に根ざした事業展開を行っているということを意味する。

 社会に支持されてこそ事業は継続するし、利益は拡大する。中小企業の発展は社会の発展そのものを意味する。これは社会全体のイノベーションに貢献し、顧客の満足を実現し、社員の生き甲斐、自己実に貢献するということだ。総会では、各社がこうしたことが議論された。

 しかし、そうは言っても、リーマンショックに加えて、震災不況が襲いかかり、今日の情勢をどのように見るか、どのように対応するかが話題にならざる得なかった。

 例えば、リーマンショック以降、企業努力はどうであったか。厳しい経営環境の中で、生き残りをかけて何をするか各社社員とともに話し合ったようだ。その中で社員はよく耐えてくれたという意見が多かった。社長も生き残りをかけて社員に対して厳しい姿勢で臨んだのだろう。社員は社長の厳しさに「よく耐えてくれた」のである。苦労がよく分かる。

 誰もが幸福であれ、ということととお人好しであることとは違う。厳しい環境の中、情勢を見極め、世の中の経済構造の変化の中で、自社の生き残る道を探り当てるというのが中小企業だ。中小企業の社長は空気の読めないようでは務まらない。

 リーマンショック、震災は大きな打撃だが、ここ数年来変化してきた世の中の経済構造を大きく加速させる点を見落としてはならない。震災によって変化するというよりは、もともと変化しようとしていた社会が、リーマンショック、震災をきっかけに加速しているということだ。