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№726 震災不況

№726 震災不況
 最近中小企業家同友会では「東日本大震災に関する第一次緊急要望・提言」を発表した。今回の震災被害は未曾有のもので、確かに国をあげて対応しなければならない。

 私の依頼者、知り合いには多くの中小企業者がいる。みんな震災被害に心を痛め、義援金活動や、物資を運ぶボランティアをしたりしている。既に何人かは現場に入って、地元の再建作業を手伝ったりしている。東北地方の壊滅的な被害の中でも多くの中小企業者は地域貢献のために懸命なっている。

 被災地では自分の工場を避難所として提供したりしている。中小業者は物流手配の専門家だ。その専門性を生かして、地域の援助物資の手配をしたり、避難所内での公平な分配をマネジメントしたりしている。復興に向けて動き出すしたたかな企業もいる。

 震災被害は関東、東北地方だけではない。
 愛知県では深刻な被害を受けている。

 自動車関係は生産が止まっている。部品が足りなくてメーカーが生産できないのだ。自動車が作られなければ、その下請け、関連企業も動けない。ただでさえ、長期不況で苦しんでいるのに、仕事がないとなると事態の深刻さは半端ではない。

 建設関係では材料がまわってこない。例えば業務用エアコンであっても、政府が商社などに大量に発注したため、全く出回らないという事態が生じている。建築関係は材料がなくてみんな止まっている。建材も政府が発注を止めるよう指導しているという噂が流れている。東北地方の商工業が被災して材料が来ないというレベルの問題ではない。政策的に部材の流通が押さえられているらしい。

「うちは、原料のおろしと長いつきあいがあるから在庫をおろしてくれるけど、新規のお客さんにはもうおろさないらしい。これまで、安いところを探してあちこちから仕入れているところは困ってる。」

「政府が、部材を止めているらしいが、いつまでも続くとは思えない。仮設住宅作るにしても、水道や下水を整備しなきゃいかんだろうし、それを待って部材を出していくというのも商社も大変じゃないか。7月ぐらいには材料が出回ってくる可能性もある。」

 企業としては資金繰りや社員の雇用の確保が急務だろう。融資のあり方や、雇用調整などの施策の洗い直しが必要だが、すでに伸びきっている対策に、それに加えた対策が可能なのだろうか。